ジンマー バイオメットインプラントのMRIにおける安全性

MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、一般に受け入れられ、広く使用されている医学的診断法です。 整形外科用インプラントが留置されている患者様に対して、多くの場合MRIは安全に施行できます。 磁気共鳴(MR)環境下における受動インプラント(passive implant:動力供給を受けずに機能を果たす医療機器)の安全性に影響を及ぼす主な問題としては、磁場によって誘導される変位力およびトルクと、高周波磁場による発熱があります。MRの静磁場に強磁性材料が存在すると、変位力とトルクが誘導されます。 また強磁性体かどうかに関係なく、金属製の機器が特定の配置をとると、高周波磁場による相互作用のために機器に発熱が生じることがあります。その他の懸念としては、画像アーチファクトという画像の質の低下も考えられます。

インプラントの移動、変形

ジンマー バイオメットの金属製インプラントは、工業用純チタン(CPチタン)、Ti-6Al-4V合金、Ti-6Al-7Nb合金、数種類のコバルトクロム合金(ASTM F75、F562、F90)、タンタル(Trabecular MetalTM)、インプラントグレードのステンレス鋼(316L、REX 734、22-13-5、Biodur 108)などの非強磁性材料を1種類または複数使用して製造されています。 ジンマー バイオメットの社内試験により、各金属材料には1.5~3.0テスラの磁場環境内でわずかながら測定可能な磁力が生じるものの、最も大きな磁力が生じた機器(ステンレス鋼)でも、その磁力の大きさは、同じ機器にかかる重力の25%未満であることが明らかにされています(※1)。 また、1.5~3.0テスラのMR環境で回転運動が観察された金属材料はありませんでした。 したがって、1.5~3.0テスラのMR環境においては、上述の金属から製造されたジンマー バイオメットの機器に移動やたわみは生じないと予想されます。

ジンマー バイオメットインプラントの一部に使用されているポリマー(プラスチック)材料とセラミック材料は非金属で非強磁性のため、MR環境に置かれても移動やたわみが生じる危険性はありません。

インプラントの発熱

高周波磁場によって生じる発熱については、最近発表された文献によると、「…現時点では、金属製の「受動」インプラントないし機器に発生した過度の発熱の結果として重篤な損傷を負った症例は報告されていない。しかしながら、細長い形状のインプラントや特定の直径の導電ループを形成するインプラントでは、発熱が問題になる可能性がある(※2)」と報告されています。
ジンマー バイオメットのインプラントにおける高周波磁場による発熱の可能性については、現在試験を実施しているところで、結果が得られ次第、公表する予定です。 

なお、現在利用されているMRI装置には複数のメーカーによる複数の世代が存在し、特定のMRI装置におけるジンマー バイオメットのインプラントおよび機器の安全性については、ジンマー バイオメットとしては保証いたしかねます。

参考文献

※1. Zimmer Research Report_WA_2179_10_Rev.1

※2. F. G. Shellock, “Reference Manual for Magnetic Resonance Safety, Implants, and Devices”, 2008 edition, pg:136