2015年4月27日
2015年4月27日
バイオメット・ジャパン(本社:東京、社長:松本政浩)は、手首の骨折(橈骨遠位端骨折:とうこつえんいたんこっせつ)の外科的治療の際に、骨折した部分の骨を直接固定する骨折治療材料と、手術器械一式がセットになった滅菌済みパッケージ「DVR
ePAK(イーパック)システム」を5月1日より整形外科の医師向けに国内発売いたします。
高齢者の四大骨折の一つにも数えられる手首の骨折(橈骨遠位端骨折)は、60~70歳代での発症率が高く、また屋外での受傷が多いことなどから、活動性の高い高齢者に多いことが特徴的です。年間10万件ほど発生しているといわれ、うち6万件程度は、プレートとスクリュー(ねじ)という骨折治療材料を使って、手術で直接的に骨を固定する方法で治療されています。
手首の骨折で、変形したまま骨が癒合した例では、治療後の手首(手関節)の動かしやすさ(関節可動域)や握力の低下を招くおそれがあります。特に活動性の高い人ではそのような手首の変形が機能障害として現れやすいといわれており、受傷後はできるだけ速やかに、受傷前に近い形に骨を接合させる早期の治療が望ましいとされています。
DVR ePAK(イーパック)システムでは、手術治療の際には個別に揃える必要があった骨折治療材料のプレートとスクリュー(ねじ)、及び、多くの場合メーカーから病院に貸し出され病院に届いてから滅菌を行っている手術用の専用器械一式が、あらかじめひとつの滅菌済みパッケージにセットされていることで、患者さんの手術までの待機時間が少しでも短縮されることが期待されます。
・製品名(販売名): DVR ePAK(イーパック)システム
手首の骨折(橈骨遠位端骨折)の外科的治療用固定材料と専用手術器械一式の
滅菌済みパッケージ
・発売日:2015年5月1日
肘から手首までの2本の骨のうち、親指側の骨が橈骨(とうこつ)です。橈骨の手首部分(橈骨遠位端:とうこつえんいたん)の骨折は、転んで手をついた際に発生しやすく、年間で10万件程度と推計され、"高齢者の四大骨折"の一つに数えられています。
この骨折で特徴的なのは四大骨折のうち、股関節(大腿骨頚部)や肩関節(上腕骨近位端)の骨折では80歳代以降で発生率が急激に増えるのに対し、手首の骨折では60~70歳代での発症率が高いことがあげられます。また、屋外での発生が多いことから、比較的活動性の高い高齢者が転んだ際に反射的に前に出た手をついて発生することが多いとされています。
さらに、男性に比べて女性の受傷率が高く、50歳代以降の女性で受傷率が高くなることから、骨粗鬆症との関連も指摘されています。
手術による治療が望ましい場合、患者さんの全身状態の検査や、手術室の空き状況などを確認して手術の予定が組まれます。また、手術が行われるまでの間に、手術に使う骨折治療材料のプレートとスクリュー(ねじ)を手配し、専用の貸し出し手術器械をメーカーから取り寄せてから病院で手術の日程に合わせて滅菌する作業時間も必要です。
DVR ePAK(イーパック)システムでは、手術に使う骨折治療材料と、専用の手術器械一式がセットされ、あらかじめ滅菌されたパッケージになっており、それらを個別に揃える段取りと、それにかかる時間を短縮でき、届き次第すぐに手術が始められます。
また、骨折治療材料のプレートとスクリュー(ねじ)は、比較的単純な手首の骨折でも一症例に付き10点以上が使われます。従来の方法では個別に滅菌包装された箱から手術中にひとつひとつ丁寧に取り出す作業が必要でした。DVR ePAK(イーパック)システムでは、この個別の箱を開ける作業が不要になり、手術中に箱を開けるのを待っている時間も短縮されます。手術の時間は、感染症を起こすリスク低減のために、短いほど良いとされています。
骨折治療には大きく分けて2種類あり、折れた骨のずれを元に戻してギプスで固定する方法(保存的治療)と、体内に埋め込む治療材料を使って手術で骨を直接的に固定する方法(外科的治療)があります。骨のずれや粉砕の程度が大きかったり、元に戻しても再びずれてしまうような場合には、折れた骨をより確実に固定できる外科的治療が選択されます。
金属のプレートをスクリュー(ねじ)で留めて骨折部分の骨を正しい位置に固定する外科的療法の中でも、近年はプレートについたねじ山にスクリュー(ねじ)が直接固定される「ロッキングプレート」を用いた治療法が、複雑で多様な骨折の手術においてますます普及してきています。
一般的にロッキングプレートを用いた手術治療では、その優れた固定力により、折れた骨片のずれを元の位置に戻して固定した後、そのまま一定期間維持することができるため、受傷前に近い形に骨を接合させることができます。これにより、関節周辺の骨折では、治癒後の関節可動域が良いことが期待されます。
以前は、手首(橈骨遠位端)の骨折治療では、手首の甲側にプレートを設置して固定する方法が主流でした。しかし、手首の甲側の骨(橈骨)のすぐ近くには、指を動かす腱が多く存在しており、手首を固定したプレートと擦れてこれらの腱を損傷するという合併症が報告されていました。
この合併症を回避するため、現在は手首の手のひら側(掌側)にプレートを設置して固定する手術方法が主流となっています。この掌側の固定用プレートとして草分け的な存在が、今回のDVR ePAK(イーパック) システムにセットされているDVRアナトミックプレート(以下、DVR)であり、2000年の米国での発売後、幾度も改良を重ねながら、広く世界中で使用されており、世界で約50万例の使用実績があります。(2015年3月現在)
手首の甲側に固定用プレートを設置した場合、指を動かす腱がすぐ近くにあるため、擦れて腱を傷めてしまうことがあった
現在は手首の手のひら側(掌側)から固定する方法が主流
DVRはその治療法による固定用プレートの草分け的存在として2000年に誕生した
販売名:DVR ePAKシステム
承認番号:22600BZX00384000
承認日:2014年9月12日
一般的名称:体内固定用プレート
DVR ePAK(イーパック)システムにセットされる骨折治療材料は 「DVR アナトミック プレート」(以下、DVR)です。
プレートのねじ穴にねじ切りがついたロッキングプレートと呼ばれる仕組みを採用しています。専用のスクリュー(ねじ)を用いることでプレートとスクリューがしっかりロックされ、緩むことを防ぎます。
最大の特長としては、プレートのそれぞれのねじ穴は、骨片にねじ込むスクリュー(ねじ)の角度が、骨を最も強固に固定できる方向を向くように3次元的に設計されている「やぐら」構造を採用していることです。
骨にスクリュー(ねじ)を挿入するねじ穴を開ける際のガイドとしての機能を持ち、プレートに予めセットされていることにより、手術中の器械による煩雑な操作を容易にし、手術時間の短縮を図ります。
F.A.S.T. ガイドを使って、狙った方向で骨にねじ穴を開ける
骨折の種類や骨折部位は多種多様なため、個々の症例に幅広く対応できるよう20種類のプレートを準備しました。
ジンマー バイオメット合同会社
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