日本初のゲンタマイシン入り骨セメント「Cobalt G‐HV ボーンセメント」新発売

2014年4月4日

 

バイオメット・ジャパン株式会社(本社:東京、代表取締役:松本政浩)は、 人工関節置換術に用いる骨セメントに日本で初めてゲンタマイシン(抗菌薬)を含有した 「Cobalt G‐HV ボーンセメント」の日本国内の販売を5月より開始する予定です。 

人工関節置換術では、感染対策を目的として骨と人工関節を固定するための骨セメントに抗菌薬を混ぜて 使用されることがありますが、気泡混入による強度低下や手術スタッフの負担などの問題が指摘されていました*1。 海外ではすでに抗菌薬入り骨セメント(ALAC)が広く使用されており、国内での抗菌薬入り骨セメントの 発売は多くの整形外科医から望まれていました。


製品の概要

「Cobalt G‐HV ボーンセメント」は、骨と人工関節を固定するために用いられる骨セメントです。 昨年5月に発売した、視認性に優れ、操作性の良さで整形外科医から高く評価されている「Cobalt HV ボーンセメント」に、 幅広い起炎菌に抗菌性を示す*2-3抗菌薬ゲンタマイシンを含有させたものです。 骨セメントの強度も従来の「Cobalt HV ボーンセメント」とほぼ同等に保たれています*4

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左写真:人工膝関節インプラントに骨セメントを塗布している様子

製品概要

販 売 名

Cobalt G-HV ボーンセメント

承 認 番 号

22600BZX00080000

承 認 日

2014年2月28日

特定保険医療材料名称:079 骨セメント(2)人工関節固定用

本製品の使用目的:人工関節置換術の術後感染に伴う二期的人工関節再置換術の第二段階において、人工関節を固定するために使用する。本品の使用にあたっては、原則として起炎菌のゲンタマイシン感受性を確認すること。

抗菌薬入り骨セメントについて:

感染症対策は手術治療時の最重要課題の一つ

人工関節置換術では、1%程度の感染症の発生率が報告されています*3。菌は金属など異物表面につきやすく、バイオフィルムを形成して固着します。 バイオフィルム内の細菌は抗菌薬や免疫に対する抵抗性が強まるため、通常の全身投与される抗菌薬では効果が期待できません*5。 

そのため、感染症を発症すると場合によっては埋稙した人工関節を取り出し、数か月単位での感染症治療を行った後に再度、人工関節置換術を行うなど、患者さんへの負担は非常に重いものになります。 このため、感染症対策は手術治療時の最重要課題の一つとなっています。この対策の一環として、すでにヨーロッパでは骨セメント使用の人工関節置換術の約9割で抗菌薬入り骨セメントが用いられています*6

適応菌種の幅が広い「ゲンタマイシン」

本製品の含有するゲンタマイシンは抗菌薬の中でも抗菌スペクトラムが広く、人工関節置換術における術後感染症の起炎菌のうちの約7~8割に感受性を有するとされています*3

機械的強度の維持

これまで国内では抗菌薬入りの骨セメントが未承認であったため、医療現場では必要に応じて術中に骨セメントに抗菌薬を混ぜて使用されていました。 しかし、抗菌薬を骨セメントと均一に混合するのは困難な上、骨セメント本来の機械的強度が下がる等の問題点が指摘されていました*1。 「Cobalt G‐HV ボーンセメント」は、従来の骨セメントとほぼ同等の機械的強度と操作性が維持されています*4

【引用文献】

*1

和田孝彦ら、ALACのセメント強度への影響、整形・災害外科、53、531-537、2010

*2

ゲンタシン インタビューフォーム

*3

山本謙吾ら、インプラント手術における手術部位感染の疫学、整形・災害外科、53、419-425、2010

*4

バイオメット社内試験データより

*5

Frommelt L & Kühn K.D.: The Well Cemented Total Hip Arthroplasty p.86‐92, 2005

*6

The Swedish Knee Arthroplasty Register Annual Report 2013、National Joint Registry for England, Wales and North Ireland 10th Annual Report 20134

<参考資料>

高齢化に伴う介護予防・高齢者のQOL向上に、更なる普及が期待される人工関節置換術

人工関節置換術は、変形性関節症をはじめとする膝や股関節の痛みに対する治療のために関節を人工物に置き換える手術です。 関節の痛みは要介護になってしまうきっかけとなるため、高齢化社会では特に対策が重要視されていますが、その抜本的治療法は現時点では手術しかありません。 

日本では現在、年間約12万8千人(2012年)が人工関節置換術を受けており、10年前より約2倍に増えています。 しかしながら、主な原因疾患である変形性関節症の国内の潜在的な患者数(X線診断による有病者数)は、約2,650~2,950万人と推定(*)されており、多くの方が手術を避けて痛みを我慢しています。 手術による体への負担が減り、少しでも受けやすい手術へと進化していくことが、人工関節置換術の普及に繋がります。

*東大病院「22世紀医療センター、 平成22年度活動報告書」、および「変形性股関節症診療ガイドライン -疫学・自然経過-」稲葉裕ら 平成19年10月 日本股関節学会より


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