次世代のソフトアンカーシステム、適応症例大幅増

2013年2月1日

 

バイオメット・ジャパン株式会社(本社:東京都港区芝公園2-11-1)は、靭帯などの軟部組織を骨に固定する際に用いられる靭帯固定具において、金属材料を使用せず全て縫合糸素材のみで構成された次世代のソフトアンカーシステムとして、新たに4製品を発売し、サイズバリエーションを拡充しました。


靭帯固定具は、腱や靭帯、筋肉等の軟部組織の縫合手術に用いられる整形外科手術用インプラントで、例えば肩関節脱臼や腱板断裂などで骨から剥離した軟部組織を再び骨に固定するために使われます。
従来の靭帯固定具では、ネジ状の金属(主にチタン合金)や棒状の医療用プラスチック等でできた『アンカー』を骨内に埋め込み、アンカーから出ている『スーチャー(縫合糸)』を軟部組織に通し縫合することで、骨と軟部組織を固定していました。
一方、本ソフトアンカーシステムは、アンカー部分にも生体に優しい縫合糸素材(ポリエステル)を採用し、小さいドリル孔(骨に空ける穴)に細いアンカーを挿入した後に塊化するというバイオメット社の独自技術によって、アンカーの骨への固定と十分な引抜強度を実現しました。さらに、ドリル孔が小さいことから、骨の除去量を低減して温存できるとともに、アンカーを多く設置して軟部組織を緻密に固定することができます。これによりアンカーにかかる負荷が分散され、高強度ポリエチレン製スーチャーとの相乗効果で、再断裂するリスクの軽減が期待されるほか、生体に優しい素材を用いることによるメリットが期待されています。(製品特性の詳細は次頁)

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<従来品の仕組み>

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<本ソフトアンカーの仕組み>

2011年6月に、直径わずか1.4mmのドリル孔に固定できるソフトアンカーシステムを発売して以来、様々な症例でソフトアンカーを使用したいとの医療関係者からの声も多く、この度のサイズバリエーションの拡充に至りました。例えば、ドリル孔直径1mm用のソフトアンカーは手指などの小さな部位での使用に。また、ドリル孔直径2.9mm用は強固な固定が重視される肩の腱板断裂の修復に適しています。他にも2つのサイズが追加され、合計5つのサイズバリエーションとなったことで、軟部組織の縫合修復手術のほぼ全ての症例でソフトアンカーを使用することができるようになりました。

製品の使用方法例

 

①専用ガイドにドリルを挿入して骨に小さなドリル孔を開けた後<図1>、ガイドにソフトアンカーを通してドリル孔に挿入します。<図2>

②アンカーを挿入後、スーチャーを上向きに引っ張ると、ドリル孔内でアンカーが塊となり、骨にひっかかります。<図3>

③ドリル孔から出ているスーチャーで、軟部組織を縫合します。

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ソフトアンカーシステムの特長

 

1.生体に優しい縫合糸素材
アンカーに用いられているポリエステル、スーチャーに用いられているポリエチレンは、ともに縫合糸の素材です。万が一、アンカーがドリル孔から脱転してしまった場合でも、金属製アンカーの場合と比べて、周辺組織を傷つけるリスクを低減させることができます。

 

2.低侵襲で患者さんの負担を軽減
ドリル孔の大きさの比較では、ドリル孔直径1.4mmのソフトアンカーを例に挙げると、ドリル孔直径3mmの従来品と比べて直径が半分以下、体積にすると1/4まで小さくなります。他のサイズのソフトアンカーでも、同用途の従来品と比較してドリル孔が小さくなっており、手術時の低侵襲性で、患者さんの負担を少なくすることができます。また、再手術が必要になった場合に、更にアンカーを固定する場所を確保しやすくなります。

 

3.高強度と荷重の分散で、アンカー脱転や再断裂、関節内骨折のリスクを低減
ドリル孔1mmのソフトアンカーは、その小ささにもかかわらず高い引抜強度(9.1~11.8kg※)を有し、また、より強固な固定が望まれる部位への使用が推奨されるドリル孔2.9mmのソフトアンカーも、固定性の高い金属製アンカーに比べて遜色のない引抜強度(53kg※)を実現しています。 ドリル孔1.4mm、1.5mmのソフトアンカーにおいても、そのドリル孔の小ささからアンカーの設置数を増やすことが可能なため、アンカーにかかる負荷が分散されて脱転しにくくなるとともに、軟部組織の縫合部や骨にかかる力が弱まることで、縫合部での再断裂やドリル孔近傍での骨折のリスクを低減することが可能となります。

 

 

バイオメット・ジャパンでは、このたびのバリエーション展開によって、ソフトアンカーシステムを適応できる症例の幅が広がり、より多くの患者さんが体の負担やリスクが少ない手術を受けられるようになることを期待しています。

新ラインナップ

◆ドリル孔直径1mm用

最も小さなサイズで、スーチャーも細く、指などの小さな部位での使用に適しています。
ドリル孔  : 1mm(直径)×8mm(深さ)
推奨部位 : 手、手首、指など(オープン手術用)
スーチャー: 2-0号または3-0号(1本) *針付き
引抜強度 : 11.8kg(2-0号スーチャーの場合)、9.1kg(3-0号スーチャーの場合)※

 

◆ドリル孔直径1.4mm用ショートタイプ

アンカー挿入用器械の全長が短く、スーチャーは針付きで、オープン手術に最適です。
ドリル孔  : 1.4mm(直径)×16mm(深さ)
推奨部位 : 足関節、肘関節(オープン手術用)
スーチャー: 1号(1本) ※針付き
引抜強度 : 24kg※

 

◆ドリル孔直径1.5mm用

2号スーチャーを装着しています。1号スーチャー装着の1.4mm用に比べてドリル孔はわずかに大きくなりますが、その分、引抜強度が上がっています。
ドリル孔  : 1.5mm(直径)×24mm(深さ)
推奨部位 : 肩関節(腱板修復、Bankart修復)、股関節(関節唇修復)など
スーチャー: 2号(1本)
引抜強度 : 30kg※

 

◆ドリル孔直径2.9mm用

2号スーチャーを2本装着している、本ソフトアンカーシステムの中で最も引抜強度の高い製品です。肩の腱板修復における内側アンカーなど、引抜強度が求められる部位での使用に最適です。
ドリル孔  : 2.9mm(直径)×22mm(深さ)
推奨部位 : 肩関節(腱板修復、Bankart修復など)
スーチャー: 2号(2本)
引抜強度 : 53kg※

 

※各引抜強度は社内データによるものです。


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