PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム

2012年8月28日

 

バイオメット・ジャパン株式会社(本社:東京都港区芝公園2-11-1)は、人工膝関節置換手術において、MRIまたはCTを用いた「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」を2012年8月より、日本で初めて導入します。これは、人工関節の手術工程を削減しつつ、人工膝関節置換手術をより正確でより安全な手術へと進化させることが期待されるシステムです。


PPC(Personalized Patient Care)の概要

「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」は、手術前に、患者ごとに異なる骨の形態をMRIやCTによって読み取って3D化し、個々の患者にとって人工関節を設置する最適な位置や角度を割り出すことができ、さらに、術前に特定した位置や角度を手術中に少ない工程で再現できる手術補助器具「PPC オーダーメイド手術ガイド」を作成して、医師の手術をサポートします。
2007年よりアメリカで導入され、昨年は世界で約19,000件の手術に使用され、その効果が実証されています。日本国内では初めて、9月よりこの「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」の利用が可能となります。

従来の人工膝関節置換手術

人工膝関節置換手術では、患者の本来の動きを再現するために、患者個々にあわせて、人工関節のサイズや設置する位置と角度を手術前に計画すること(術前計画)が重要となります。また、手術中には、術前計画で定めた設置位置を割り出すためのいくつもの準備工程が必要となります。
しかしながら、従来の手術では、2Dのレントゲン画像をもとに術前計画を行うことが一般的なため、計画の精度に限界があり、手術中に計画の微調整を行う必要がありました。
さらに、手術中には、術前計画によって定めた場所を割り出すために多くの工程をこなさなければならず、そのための器械や時間を必要とするとともに、髄腔に穴を空けて骨を削るなど患者の体に余分な侵襲を加えなければなりませんでした。

PPCの特長

PPCでは、靭帯や軟骨も投影できるMRIのデータやCTデータをもとに、正確な3D画像を作成することで、より精密な術前計画の策定が可能となっています。さらに、バイオメット社の「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」のオリジナルの機能として、医師がコンピュータ画面上で3Dシミュレーションを行いながら、設置位置や角度、人工関節のサイズを調整しながら術前計画ができるようになっており、より患者に適した計画策定をサポートします。

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また、手術中においては、「PPC オーダーメイド手術ガイド」によって、術前計画で定めた骨切り(こつきり)の場所を、従来のようにいくつもの準備工程を経ることなく、露出させた骨に直接このガイドを設置するだけで、シンプルで且つ正確に特定できるようになっており、術中の計画微調整が不要となることに加え、手術時間の短縮と、余分な骨の切除を回避することが可能となります。 その結果、手術時の出血量を抑えることができるとともに、設置不良の減少や、感染症や血栓症の発生リスクを抑えることが期待されます。

バイオメット・ジャパンでは、PPCの普及により、人工膝関節置換手術がより正確でより安全な手術になることで、より多くの方が膝の痛みから解放され、生活の質(QOL)が向上することを目指しています。

<参考資料>

人工膝関節置換手術について

人工膝関節置換手術は、変形性関節症をはじめとする膝の痛みに対する治療のため、膝関節を人工関節に置き換える手術です。近年、人工関節材料の進化や新しい技術の開発などにともない、年々手術件数が増加し、2010年には年間約7万人が手術を受けています。一方で、主な原因疾患である変形性関節症の国内の潜在的な患者数(X線診断による有病者数)は、約2530万人と推定されています。(∗)

∗ 東大病院「22世紀医療センター、平成22年度活動報告書」より

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(メーカー出荷ユニットベース)

出所:(株)矢野経済研究所「2011年版メディカルバイオニクス(人工臓器)市場
の中期予測と参入企業の徹底分析」をもとに「人工関節ライフ」が作成

「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」について

Step.1

病院で撮影されたMRIデータ、またはCTデータを専用ウェブサイトよりオンラインで送信。

Step.2

送信されたデータをもとに、システムが自動的に最適な設置位置や角度、人工関節のサイズを割り出し、3D画像を作成します。また、必要に応じてアメリカにいる技術者が、3D画像を微調整します。

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Step.3

撮影データ送信からおよそ2週間後に、3D画像が医師の元に届きます。
医師は「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」の画面上で、設置位置や角度を微調整し、また、人工関節の異なるサイズを試しながら、設置シミュレーションを行うことができます。画面上で「PPC オーダーメイド手術ガイド」の形状を選択することも可能です。
このステップにて、医師が最終的な術前計画を決定します。
 ※位置は0.5㎜単位、角度は0.5度単位で選択可能。

Step.4

医師が設置位置や角度を確定後、概ね2週間程度で「PPC オーダーメイド手術ガイド」が ドクターの元に届きます。

【ナビゲーションシステムとの比較】

3D術前計画のシステムとしては、より古くから導入され実績のあるナビゲーションシステムがあります。手術の正確性を達成する目的とその精度では、今回のPPC 3D術前計画システムはナビゲーションと同等のものになりますが、初期導入コストが高く一般病院での導入が困難なナビゲーションシステムに比べて「PPC 3D術前計画・オーダーメイド手術ガイド作成システム」は初期費用がかからず、より多くの病院や多くの患者がそのメリットを受けることが期待できます。


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