世界初、ビタミンE Infused(浸漬/浸透) 人工股関節ライナー第二世代HXLPE (ハイリ―クロスリンクポリエチレン)

2010年11月1日

 

バイオメット・ジャパン株式会社(本社:東京都港区芝1丁目5番9号)は、ビタミンE浸漬(しんせき)/浸透(しんとう)によって、高強度を保ったまま、抗酸化性、低摩耗を獲得した第二世代HXLPE採用の人工股関節ライナー「E1™ HIP リングロックライナー」を、2010年11月1日より日本に導入いたします。世界初のビタミンEを含んだ人工股関節ライナーであり、摩耗を抑制する材料として大変期待されています。


E1™ Antioxidant Infused Technologyの特長

E1™ Antioxidant Infused Technology(ビタミンE浸漬/浸透技術)は、1990年代後半から開発されたハイリークロスリンクポリエチレン(以下HXLPE)を新しい世代=第二世代として進化させ、確立しました。

  1. HXLPE人工股関節ライナーを、ビタミンE液に浸漬。
  2. インプラント内の酸化反応分子(フリーラジカル)が酸素と結合する前にビタミンEと結合させ、酸化を防止、ポリエチレンの劣化を予防。
  3. 人工股関節に求められる「機械的強度」「耐摩耗性」「抗酸化性」に加え、「持続的抗酸化性」を獲得。
  4. 従来15年~20年と言われてきた人工股関節の耐用年数を、向上させる技術として注目される。

人工股関節の現在

image_2010110101

人工股関節は、変形性股関節症やリウマチなどの関節疾患によって傷んだ股関節を、ポリエチレンや金属(チタン合金、コバルトクロム等)の人工股関節コンポーネントで置換し、疼痛の除去と関節機能の回復を目的とした人工股関節置換術が対象の手術で、現在施術数は年間約43,000件にのぼります(2009年度実績、メーカー出荷ユニットベース(株)矢野経済研究所調べ)。

UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)とは何か?

image_2010110102

人工股関節の寛骨臼コンポーネントに組み合わされるライナー部(摺動面)には、その材料として1960年代前半からポリエチレンが使用されています。ここでいうポリエチレンとは、UHMWPE(Ultra High Molecular Weight Polyethylene=超高分子量ポリエチレン)と呼ばれるもので、潤滑性が高く(つまり低摩擦係数)、歩行や階段昇降といった繰り返しの荷重(負荷)に耐えうる高い強度、日常の摺動に耐える耐摩耗性を備えています。スキー板や機械のギア・歯車などにも使われていますが、医療用の材料として用いられるポリエチレンは、分子量が350万から600万程度で、高密度です。

第一世代HXLPEの誕生と課題

UHMWPEは50年以上前から人工股関節摺動面として臨床使用が開始され、その材料特性から幅広く用いられるようになりました。しかし、体内で引き起こされる摩耗から、人工関節周囲での骨溶解現象(オステオライシス)が起こり、早期のルースニング等の問題が発生しました。第一世代HXLPEでは、耐摩耗性を高めるため、このUHMWPEにガンマ線などを照射して「クロスリンク(架橋結合)」させる技術が開発され、これによって生まれたポリエチレンが「第一世代HXLPE=Highly Cross Link Polyethylene」です。
中期の臨床報告によると、第一世代HXLPEは当初の目的であった耐摩耗性について一定の成績を修めましたが、製造の過程で新たに追加された加熱のプロセスによって、あらたな課題をもたらすことになります。製造工程において融点以上に加熱されたUHMWPEは強度を低下させ、融点以下の加熱では体内組織中の酸素と結合し、酸化を引き起こすフリーラジカルを完全に排除することができませんでした。UHMWPEの体内での酸化劣化は、摩耗や破損などの原因と考えられています。

第二世代HXLPEの開発、そしてE1の実現へ

第一世代HXLPEの課題を解決する「持続的な抗酸化性を発揮できる第二世代のHXLPE」として、マサチューセッツ ジェネラル ホスピタル(以下MGH)がその技術を開発し、バイオメットとの協力により、人工関節の摺動面材料として製品化に成功しました。その技術が「E1™ Antioxidant Infused Technology(以下E1™)」です。

E1™ Antioxidant Infused Technology、その製造プロセス

image_2010110103
  1. コンソリデーション(ポリエチレンパウダーから固形の形状に圧密)
  2. プリフォーム(ビタミンEが浸透しやすい形状に加工)
  3. クロスリンク
  4. ビタミンE浸漬、均質化
  5. ファイナルマシニング(最終インプラント形状に加工)
  6. 滅菌(ガンマ線照射)

上記のように、E1™ は、クロスリンクによってUHMWPEの耐摩耗性を高めた上で、ビタミンE液に一定時間浸漬し、インプラント全体にビタミンEを均等に浸透させます(均質化)。

ビタミンEは、穀物、緑黄植物、海草類、種子類、魚類、肉類など、幅広く自然界に存在します。非常に有効な「抗酸化作用」を持ち、美容やアンチエイジングなどの分野でも注目されています。ビタミンEは、さまざまな抗酸化剤のなかでも、フリーラジカルを捕捉する反応がもっとも速いと言われています。UHMWPEにビタミンEが含まれていれば、酸素と結合する前にフリーラジカルを捉え、酸化を防ぎます。

バイオメットでは、第二世代HXLPE採用において、ビタミンEの安全性はもとより、強度テスト、耐摩耗性テスト、抗酸化性テストなど様々なテストにおいて、第一世代HXLPEよりも良好な結果を獲得していることを確認したため、 2010年11月1日、「世界初のビタミンE Infused(浸漬/浸透)人工股関節ライナー」として日本市場に導入いたします。


報道関係者からのお問い合わせ先

ジンマー バイオメット合同会社
マーケティングコミュニケーションズ
〒105-0011 東京都港区芝公園2-11-1
Tel: 03-6402-6605 Fax: 03-6402-6632
Eメール:Press-contact.Japan@zimmerbiomet.com


※こちらは報道関係者向けに発表した情報です。
  掲載内容は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合があります。