2016年6月27日
2016年6月27日
近年プロスポーツ選手などの治療としても注目を浴びたPRP療法は、患者さん自身の血液を遠心分離してつくられるPRP(多血小板血漿)を用いて行う治療です。ジンマー バイオメット(本社:東京、社長:小川一弥)のL-PRP(高白血球多血小板血漿)を調製する血液成分分離キット「GPS III システム」が、この度、国内で初めて臨床使用可能なクラスⅢ医療機器として製造販売承認され、2016年7月1日より販売を開始いたします。
PRP療法は、国内では歯科口腔外科や形成外科分野での使用にはじまり、近年は整形外科領域でも様々な分野での臨床使用の報告がありますが、その成績に対する見解は一定しておらず、まだ治療法としては確立されていません。しかしながら、スポーツ障害などに対して低侵襲な治療かつ早期回復などの臨床成績の報告もあることから、今後の発展が期待されている再生医療です。
PRPは試験管と遠心分離機を使用して抽出することも可能ですが、2段階で遠心分離するなど手間がかかり、また分離された血液成分の濃縮率が一定しないなどの問題がありました。「GPS III システム」では専用キットを使用することにより、15分の遠心分離一回で患者さんの自己血から血小板を収集・分離し高濃縮の自己由来血液成分(L-PRP:高白血球多血小板血漿)を作ることができます。L-PRP は活性化されると各種成長因子が放出されます。
製品名(販売名): GPS IIIシステム
(血液成分分離キット)
・医療機器製造販売承認番号:22700BZX00420000
・発売日:2016年7月1日
PRP(多血小板血漿)とは、自己血を遠心した後の血小板を多く含む血漿層のことです。血小板は止血過程で重要な役割を果たすほか、様々な成長因子を含みます。これらの成長因子の役割により、生体が本来持つとされる自然な治癒反応を促進するといわれています。PRPに含まれる主な成長因子とその役割は以下のとおり。
血小板由来成長因子(PDGF)
形質転換成長因子(TGF)
血管内皮成長因子(VEGF)
線維芽細胞増殖因子(FGF)
「GPS III システム」で分離されるのは、PRPに加えて白血球も多く含むL-PRP(高白血球多血小板血漿)です。白血球は創傷治癒プロセスに複雑に関与しており、組織の治癒に重要な役割を果たしています。
「GPS III システム」では、利用可能な血小板を多く含むL-PRP が毎回安定・一貫して抽出されます。また、特許出願中の固定型二重ブイ機構が、マニュアル操作を必要としない血小板と白血球の効率的な自動分離を可能にしています。本システムで分離したL-PRPの濃縮率は遠心分離前の全血中濃度に対して、血小板は約6~9倍、白血球は約3~6倍に増加します。
PRP療法はまだ確立された治療法ではなく、医学的な見解もまだ一定したものではありませんが、既に多くの分野で臨床応用されています。以下に主なものをご紹介します。
治療分野 | 治療の概要 | |
整形外科分野 | 脊椎固定術や骨折遷延治療における骨癒合促進 | 外科手術にて患部にPRPを使用 |
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、アキレス腱炎、筋損傷の治療 | PRPを注射器を用いて患部に注入。 数日~数週間安静にした後にリハビリを行うなど |
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腱板縫合術や前十字靭帯再建術に補助的に用い、治癒促進 | 外科治療時に患部、再建組織にPRPを使用 | |
変形性膝関節症、半月板損傷の治療で損傷組織の治癒促進 | PRPを注射器を用いて患部に注入。 数日~数週間安静にする |
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口腔外科分野 | 顎骨再建やインプラント治療 | 外科手術時にPRPを使用 など |
形成外科分野 | 皮膚潰瘍や褥瘡の治療で上皮組織の再生促進 | 患部にPRPを塗布したシートを貼り付けるなど |
ジンマー バイオメットについて:
ジンマー バイオメットは、米国インディアナ州に本社を持つジンマー バイオメット社(Zimmer Biomet Holdings, Inc.)の日本法人であり、筋骨格系ヘルスケアのリーディングカンパニーです。
ジンマー バイオメットは、変形性関節症や骨折をはじめとする整形外科領域の疾患に苦しむ患者さんの生活の質の改善のために、人工関節や骨接合材料などの治療材料のみならず、一人ひとりにカスタマイズされた治療ソリューションや革新的な医療技術の提供に努めています。ジンマー バイオメットのタグラインである「Your progress. Our promise.®」は、高齢化がさらに進む社会の中で、人びとが健康でより良い生活を送ることへの支援を、私たちの使命として約束する意味が込められています。
ジンマー・バイオメット合同会社
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